入院中に思う③

②からの続き

中央の出入口から見た四人部屋は、左右の壁に頭を向けてベッドが2台ずつ設置されている。私は左奥のベッド(居室)を与えられ、運び込んだ荷物を下ろすとさっそく室内を見渡してみた。

 

パーティションは、右隣のベッドとの間だけに設置されていた。その厚さ10㎝はあろうか、なかなかドッシリとしている。材料板一枚の造りではなく、間を中空にして二枚を張り合わせているようだ。なるほど、こうすれば重厚感が出て、過ごす人は安心感を得られる。

高さは180㎝以上あって、そこから天井までの部分は吹き抜けてこそいるが、敢えて覗き込もうとする人がいない限り、予期せずに何かを垣間見られることはない。

下半分はダークに塗られた合板が張ってあるが、上半分はすりガラスのようなアクリル板の構造なので暗くもならない。

 

通路を挟んだ向かいの二名との間にはパーティションはなく、仕切りは各ベッド周りに吊るされたお馴染みのカーテンだけである。ただ、足を向け合う同士で、互いのカーテンが間にあり、おまけに通路の分だけさらに距離もあるのだから、まったく存在が気になることはない。

 

部屋自体の広さは、昔よく見た六人部屋位はあるので、四人で使うにはたっぷりと専有スペースがある。

 

長くなったが、これがパーティションで区切られた簡易個室の全貌である。

これなら快適な入院生活を送られそうだ、と思ったのだか…

入院中に思う②

①からの続き

 

まずはナースステーションを訪ねると瞬時に予定者名簿から私と判断され、確認のために手首に巻かれたバーコードを読まれた。

このリストバンドは病棟に赴く前の最初の総合入院受付で巻かれたもの。まだこの時は私は妻と一緒だったが、受付が終わった以降は、妻の帯同は事実上禁止され、代わってこのリストバンドが常時手首に巻き着いていることになる。オペの間以外はずっと。

 

さて、ナースステーション(かつて詰所と呼ぶ人も多かったような)で人定された私はその場で身長体重をチェックされ、流れるように病室へ案内される。この間、着替え等の入った小ぶりのボストンバッグとノートPCを入れたビジネスバッグの2つを上げたり下ろしたり。

 

病室へ。今入院で楽しみにしていた、カーテンだけではなくパーティションで区切られた簡易個室を生まれて初めて目にする。こんなのは今までに経験がなかったから(コロナ以降にできたものだろう)妻と2人で「いったいどんなんやろね?」と入院のパンフレットの写真を見ながら話していたものだ。

 

で、実際に簡易個室を目の当たりにすると…。

入院中に思う①

およそ15年ぶりに入院しているが変わったねえ、病棟の風景も。

2024年の現在、ここは大阪の大病院だが、withコロナ期間中に得た作法は医療現場では当然のように継続徹底されている。まずはマスク着用が絶対。今もまだ? ということではない。医療施設に居る人が常時マスクを着けることは、よく考えてみれば至極当たり前だと、コロナで学んだということだろう。

そして見舞い客はおろか、オペ中の家族の立ち合いも付き添いもNOだ。これも少し頭を捻って考えてみれば妥当なことだと思う。やたら外部の人を病棟に呼び込んではいけない。これもコロナで学んだ。

さて、これによって、入院・オペ患者はすべてを独りで手続きしなければならなくなっている。これがなかなか骨が折れた。

まずは大きなバッグを担いで単身、指定された病棟へ乗り込んだわけだが、今回は急患としてではなく、予定されたオペのための入院だったので、私の体力は有り余っていた。このときまでは…。